東京地方裁判所 平成10年(ワ)16856号 判決 1999年9月24日
原告 株式会社a銀行
右代表者金融整理管財人 X
右訴訟代理人弁護士 田辺信彦
同 田辺邦子
同 伊藤ゆみ子
同 中西和幸
同 市川佐知子
同 平野双葉
同 安田和弘
同 鈴木仁史
被告 Y
右訴訟代理人弁護士 松島洋
同 松村眞理子
主文
一 被告は、原告に対し、金四六八三万円及びこれに対する平成一〇年八月六日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを二分し、それぞれを各自の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
一 請求の趣旨
被告は、原告に対し、金九三六六万円及びこれに対する平成一〇年八月六日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
一 前提となる事実(以下の事実は当事者に争いがない。)
1 被告は、A(昭和四〇年○月○日生まれ)の母である。
2 被告は、A所有の東京都足立区<以下省略>宅地五〇〇・九五平方メートルの土地及び右同所<以下省略>所在、家屋番号<省略>木造瓦・亜鉛メッキ鋼板葺平家建居宅、店舗、倉庫一棟床面積一四二・一四平方メートルの建物(以下、この土地及び建物を「本件不動産」という。)に関する原告とAとの間の以下の各契約書及びこれらの契約に基づく登記申請手続に関する委任状について、それぞれの書面の作成日付のころ、Aの承諾を得ることなく、Aの名義で署名し、Aの登録印を押捺することにより書面を作成し、Aの印鑑登録証明書及び本件不動産の権利証と共に、原告に交付した。
(一) 原告の株式会社三井商事に対する銀行取引による一切の債権、手形・小切手上の債権を担保するため、本件不動産に極度額を一一〇〇万円とする根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)を設定する旨の昭和六一年二月二五日付根抵当権設定契約証書(甲第三号証の一)
(二) 本件根抵当権の極度額を六〇〇〇万円に増額変更する旨の同年五月三〇日付根抵当権変更契約証書(甲第三号証の二)
(三) 本件根抵当権の極度額を一億円に増額変更する旨の昭和六二年五月一一日付根抵当権変更契約証書(甲第三号証の三)
(四) 本件根抵当権の極度額を二億円に増額変更する旨の同年一一月三〇日付根抵当権変更契約証書(甲第三号証の四)
3 原告は、Aから、平成八年七月二九日、本件根抵当権は自己の意思に基づかずに設定されたものであるとして土地建物根抵当権設定登記等抹消登記請求訴訟を提起され、平成九年一一月二七日、敗訴判決の言い渡しを受けた。
二 原告の主張
1 Aは昭和六〇年○月○日成人し、被告がそれまで親権者として有していた法定代理権は消滅した。しかるに、被告は、本件根抵当権の設定、変更につき、Aから契約書等に署名押印を代行することを許されておらず、また、契約締結につき代理権を授与されていなかったにもかかわらず、被告がAの成人前から保管していたAの登録印を利用して本件根抵当権設定契約書等を偽造するとともに、本件不動産の権利証及びAの印鑑登録証明書を同人に無断で原告に交付し、原告をして、Aとの間で本件根抵当権設定及び極度額変更のための各契約が有効に成立したものと誤信せしめた。
このように、被告は、Aが成人したことを知りながら、Aの意思を確認することもなくAの署名を偽造し、実印を冒捺したのであるから、本件契約が無効となること、そして、それにより契約の相手方である原告に損害が生じることを認識していたというべきである。仮に認識していなかったとしても、そのことにつき過失があるというべきである。
2 原告の損害
原告は、平成四年八月二七日、三井商事に対し、手形貸付により二億円を弁済期を平成五年八月一五日と定めて貸し付けた。原告は、本件根抵当権によって貸付金が担保されると信じていたので、右貸付を行ったものである。
その後、原告と三井商事は、数度にわたり右貸付金の弁済期を延長する旨の合意をし、最終的には、平成六年一二月三〇日、右貸付金残元金一億六八六五万円について、弁済期を平成七年四月五日に変更する旨の合意をした。しかるに、三井商事は、平成七年二月二日に二三〇〇万円を弁済したのみで、残元金一億四五六五万円を弁済しない。三井商事は右残元金を弁済する能力を有していない。
そこで、原告は、本件根抵当権を実行しようとしたところ、Aから前記根抵当権抹消登記請求訴訟を提起され、敗訴した。原告は、右訴訟において初めて、被告が本件根抵当権の設定及び変更契約書を偽造したことを知った。
ところで、原告が本件根抵当権を実行しようとした平成八年六月ころの本件不動産の価格は九三六六万円を下らないので、原告は、本件根抵当権がAの意思に基づく有効なものであると誤信して三井商事に前記貸付を行ったことにより、少なくとも九三六六万円の損害を被った。
3 よって、原告は、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、九三六六万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
三 被告の主張
1 本件被告の行為が不法行為を構成しないこと
以下の事情にかんがみると、以下の如き担保徴求行為を推進し、そのやり方をもってよしとした原告との関係では、被告の本件行為を不法行為と評価することはできない。
(一) 本件根抵当権設定契約及びその極度額の増額変更契約は、いずれも三井商事の社長Bがそれらの契約に必要な書類を原告より預かり、原告の使者として被告方を訪れ、被告がすべてBの指示に基づいて行動することにより締結されたものである。すなわち、被告は、Bの指示に基づきそれぞれの書面にAの名義で署名し、その当時保管していたAの実印を押印し、不動産の権利証や印鑑証明等をBに対して交付したのである。Bは、本件各契約書に被告がAの名前を代書したこと、また、それをすることについてAに特に断っていないことを承知していた。
(二) 被告もBも、Aはまだ成人に達して間もないし、Aの父親が早死にをしたためかねてから被告がA名義の相続不動産について親権者として処理してきたこともあり、被告がAの署名の代行をすることに法律的な疑問を持たず、本件各契約が無効になるとは認識していなかった。
(三) 原告は、本件契約の際にされたAの署名が明らかに達筆の女文字であり、また、同時期にAに相互銀行取引約定書に自署させていたのであるから、本件署名がAの手によるものでないことを容易に知り得たところである。しかるに、原告の担当者は、本件根抵当権の設定、変更のいずれについても、事前にも事後にも設定者であるAに面談したり、電話や文書で連絡をとったりしたことはなかった。被告に対しても、面談その他一切の連絡をとらなかった。原告は、手続のすべてをBに任せており、Bには原告の参与という肩書きを与えていた。
(四) 本件根抵当権の設定及び変更は、すべて三井商事が不動産開発をするための資金を原告から借り入れる際に担保に供するためにされたものであり、被告及びAが原告から金銭を借り入れたものではない。本件根抵当権の設定を望んだのは、三井商事であり、また、その時期に不動産投資に狂奔していた原告である。原告は、最近経営破綻を来たし、金融再生法により金融管財人が派遣されたが、その大きな原因としてバブル期の不動産投資の異常な拡大が指摘されている。
以上のところからすると、被告は、本件根抵当権設定契約が無効になるとは考えておらず、また、原告主張に係る損害の発生についても認識を欠いていたというべきである。また、銀行として高度の法的判断能力を有することが期待される原告との関係において、被告には過失も存在しないというべきである。
2 自己の危険における行為(違法性阻却事由)
原告は、被告が署名代行をすることに深く関与し、それを是認し、また、署名代行と知りながら本人に確認を求める等のリスク回避のための措置を講じていないのであるから、「自己の危険における行為」として被告の違法性が阻却されるというべきである。すなわち、原告と被告は、本件根抵当権設定、変更契約を締結する際に、被告がAの署名を代行することを承知しながら、代理形式により顕名させることなく、委任状を取らず、被告が保管していたAの実印と印鑑証明を利用して契約書を共同で作成したのである。原告はその契約の効力が将来危機にさらされる可能性があることについて自らリスクを引き受けたものといえる。
3 損害の発生について
原告の主張する損害は、不法行為責任に名をかりて契約法理から導かれる融資残高、更には抵当権の設定が有効であることに代わる金額となっており、不当である。
4 大幅な過失相殺(仮定抗弁)
仮に、本件について不法行為が成立するとしても、本件根抵当権設定行為に瑕疵があったことについて原告の過失は極めて大きい。特に原告が銀行であること、各契約書は原告がその文案を作成していたこと、契約書の調印はBを使者として原告指導の下に、その面前で行われたこと、原告は署名代行を認容していたこと、有効な契約書を作成する法律知識や能力において原告が被告に比べて圧倒的に優っていたこと等を考えると、大幅な過失相殺がされるべきである。
第三当裁判所の判断
一 不法行為の成否について
1 前記前提となる事実1及び2に甲第三号証の一ないし四を総合すると、被告は、本件不動産の所有者であるAの承諾を得ることなく、本件不動産に関する原告との間の根抵当権設定契約証書、その極度額を変更するための三通の根抵当権変更契約証書、更にはそれらの契約に基づく登記申請手続に関する委任状について、それぞれの書面の作成日付のころ、それらの書面の根抵当権設定者の欄にAの名義で署名し、Aの登録印を押捺することにより右各書面を作成し、Aの印鑑登録証明書及び本件不動産の権利証と共に、原告に交付したことが認められる。
そうすると、他に特段の事情がない限り、被告は、原告をして、右根抵当権設定契約及びその極度額を変更するための三回の根抵当権変更契約がいずれも有効に成立したものと誤信せしめたものというべく、その結果原告に生じた損害については、故意又は過失による不法行為に該当するものとして、それを賠償する義務を免れないというべきである。
2 ところで、被告は、前記被告の主張1において、本件における如き担保徴求行為を推進し、そのやり方をもってよしとした原告との関係では、被告の行為をもって不法行為と評価することはできないとして、様々な主張をしているので、以下、右特段の事情が存するか否かについて検討する。
(一) 被告は、その主張の(一)において、本件各契約はすべてBの指示に基づいて被告が行動することにより締結されたものである旨主張している。
この点に関しては、甲第五、六号証、乙第二ないし第四号証、同第六、七号証、証人Bの証言に被告本人尋問の結果を総合すれば、以下の事実が認められる。被告は、昭和五七年に知人からBを紹介され、以後、Aらが相続により取得した多数の不動産の管理、処分等についてBに相談に乗ってもらったりしていた。昭和五八年ころには、被告は、Bに対し、Aが相続した土地の一部に賃貸マンションを建て収益を挙げる計画の実現方について何かと助力を仰ぎ、その建築資金についても、太陽神戸銀行と交渉してA所有の不動産に極度額一億一〇〇〇万円の根抵当権を設定することにより調達してもらった。また、右借入金の金利の負担を軽くするために、原告からの借入に変更するための交渉をBにしてもらい、昭和六〇年一二月二五日には、そのための根抵当権変更契約証書を作成し、借り替えを実現してもらったりした。こうした付き合いの中で、被告は、Bから、昭和六一年初めころ、同人が経営している三井商事の原告に対する債務の担保として本件不動産の提供方を依頼され、本件契約を締結するに至った。なお、被告は、本件担保の提供に伴い、三井商事から保証料として月三〇万円の支払を受ける約束をし、平成八年九月までその支払を受けていた。
右認定した事実からすると、確かに被告主張のとおり本件契約の締結過程においてBが主導的役割を果たした面があるとしても、被告はかねてからBと密接な関係を有し、本件各契約についても、そのような関係の下で、しかも保証料として月三〇万円の支払を受ける約束の下に締結するに至ったものであるというのであるから、本件における被告の不法行為責任の有無を検討するにおいては、こうした事情もまた考慮されるべきものと考えられる。
なお、被告は、Bは原告の代理人又は使者である旨主張しているが、もともと本件で問題とされている契約証書は、債務者や根抵当権設定者が契約条件を承認の上作成して原告に差し入れる形式が採られているところであり、このことに、右に認定した被告とBとの密接な関係をも併せ考慮すると、他に特段の立証のない本件においては、被告の右主張は採用できないというべきである。
(二) また、被告は、その主張の(二)において、それまでの経緯から、被告はAの署名の代行をすることに法律的な疑問を持たず、本件各契約が無効になるとは認識していなかった旨の主張をしている。
しかしながら、被告は前記根抵当権設定登記等抹消登記請求訴訟の証人尋問において、本件根抵当権設定契約証書(甲第三号証の一)の作成について、Aに言えば反対されると思ったので話していない、A名義の不動産を勝手に登記するのはいけないと思ったが、その了解を得ることなくやった、との趣旨の証言をしており(甲第六号証)、当時被告は右証言のとおり認識していたものと認められる。こうした事実は、被告の故意又は過失を理由あらしめるものというべきである。
この点に関し、被告は、本件における本人尋問において、右証言内容とは異なる供述をしているが、以下のところからすれば、その本人尋問における供述は信用できない。すなわち、乙第三ないし第五号、被告本人尋問の結果によれば、前記賃貸マンションの建築資金の関係で昭和六〇年一二月二五日付けをもって「根抵当権譲渡ならびに変更契約証書」(乙第三号証)及び「根抵当権変更契約証書」(乙第四号証)が、また、その資金の借入債務一億四五八〇万円の更改のために昭和六二年一月二〇日付けをもって「金銭消費貸借契約証書」(乙第五号証)が、いずれもAの名義で作成されているが、これらは、Aの承諾の下に被告がAの名義で署名して作成したものであることが認められる。このように、被告は、本件根抵当権設定契約の直前の時期にされた同種の契約の締結に際しては、Aの承諾の下に契約に臨んでいたのである。また、前記訴訟における被告の証言内容との食い違いについて、被告がその本人尋問中でしている説明は、趣旨が明瞭でなく、また、合理性を欠くといわざるを得ない。こうしたことを考え併せると、被告本人尋問における右供述部分は信用することができない。
3 被告の主張1の(一)及び(二)について以上検討したところによれば、仮に被告の主張1の(三)及び(四)の如き事情が存するとしても、前記1及び2の(一)及び(二)で説示したところを総合考慮すると、本件においては、前記1で説示した特段の事情が存するものと認めることはできないというべきである。したがって、被告は、本件不動産の所有者であるAの承諾を得ないままに本件各行為をしたことにより、原告において本件各契約が有効に成立したものと誤信した結果被った損害について、不法行為に基づく賠償義務を免れない。
なお、被告の主張1の(三)及び(四)に現れている事情については、その内容にかんがみると、被告の不法行為責任を免れしめる事情とまではならないとしても、後記の如く過失相殺に際し斟酌されることがあるものと判断される。
二 自己の危険における行為について
被告は、その主張の2において、原告は、被告が署名代行をすることに深く関与し、それを是認し、また、署名代行と知りながら本人に確認を求める等のリスク回避のための措置を講じていないのであるから、「自己の危険における行為」として被告の違法性が阻却されると主張しているので、以下、この点について検討する。
乙第一一号証及び被告本人尋問の結果によれば、昭和六〇年一二月二五日付け「相互銀行取引約定書」(乙第一一号証)は、前記賃貸マンションの建築資金のための借入金を原告からのものへと借り替えする際にAから原告に差し入れられたものであるが、その本人欄の署名はA自身がしたものであることが認められる。この署名と、本件各書類にされているA名義の署名とを対照してみると、両者の筆跡は明らかに異なるものと判断される。本件では、右書面の差入れ後間もない昭和六一年二月二五日付けで本件根抵当権設定契約証書(甲第三号証の一)が作成され、原告に差し入れられているのである。こうしたところからすると、本件においては、本件根抵当権設定契約証書にされた署名が本人であるAの手になるものであることに疑いを抱かせる事情が存したものと認めるのが相当である。
それにもかかわらず、本件においては、原告においてその点を確認するための措置を講じたことを窺わせる証拠は提出されていない。かえって、甲第六号証、前掲証人Bの証言及び被告本人尋問の結果によれば、本件各契約においては、専らBが原告と被告との橋渡し役を果たしており、原告の担当者がA本人にその意思を確認したことは全くなかったものと認められる。
そうすると、本件各契約の締結については、原告にも、A本人の意思を確認する措置を欠いた点において過失があったものと判断される。
しかしながら、本件においては、被告の側にも前記一の2の如き事情が認められるところであって、こうした事情も併せ考慮すると、原告に右過失のあることをもって被告の主張の如く違法性阻却事由を構成するものとまでは認められないというべきである。被告の右主張は独自の見解であり、にわかには採用できない。
三 損害について
甲第七、八号証、乙第六、七号証、証人Bの証言に、前記前提となる事実及び弁論の全趣旨を総合すると、原告の主張2の事実を認定することができる。これによれば、原告は、本件不動産に対する根抵当権が有効であることを前提として、それを担保に三井商事に対する貸付を実行したものと判断される。
そうすると、原告は、被告の本件不法行為により、三井商事に対する貸付金について本件根抵当権の実行により回収し得た金額相当額の損害を被ったものというべく、その額は、他に格別の証拠が存しない本件においては、原告の主張のとおり九三六六万円と認めるのを相当とする。
なお、この点について、被告はその主張3の如く主張しているが、以上説示したところに照らし検討すると、独自の見解に立脚するものであり、採用できないというべきである。
四 過失相殺について
前記二で説示したところによれば、本件においては、その契約証書にされた署名が本人であるAの手になるものであることに疑いを抱かせる事情が存したにもかかわらず、原告は、A本人の意思を確認するための措置を講じなかったというのである。
そして、甲第三号証の一ないし三及び前掲証人Bの証言によれば、本件根抵当権設定契約は、原告と被告との間に入って契約書の作成手続を進めたBが経営する会社の債務の担保に供される内容のものであった。また、前記前提となる事実からも明らかなとおり、その後の極度額の変更契約にしても、極度額が当初の昭和六一年二月の段階では一一〇〇万円であったものが、同年五月には六〇〇〇万円、翌年五月には一億円、一一月には二億円と、比較的短期間の内に著しく増額されたのである。そして、前記三で認定したとおり、原告担当者は、この四回にわたる契約の締結のいずれの過程においても、本人であるAの意思の確認をしなかったというのである。
こうしたところからすると、原告には、Aに対する本件契約締結の意思を確認する義務を怠った点において過失があるというべく、その過失は本件損害賠償額の算定に当たり考慮すべきである。そして、その過失の割合は、右に認定したものの他、本件に顕れた一切の事情を斟酌すると、被告と原告と五分五分と認めるのが相当である。
そうすると、原告は、被告に対し、前記損害額の半分である四六八三万円について賠償を求め得ることになる。
五 以上の次第であるから、原告の本件請求は右の限度において理由があるが、その余は失当であるから棄却を免れない。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 金井康雄)